大きなテラスのある家

A夫妻は、ニセコアンヌプリの麓に家を建てようと考えていました。
はじめは、ただ何となくログハウスのような木の温もりがある住まいがいいなと考えていました。

設計を進める中で、
◎ニセコアンヌプリなどの山々を眺めたい
◎周りの自然景観にマッチした住まい
◎地元にある材料や素材を使いたい
◎自信にも安全で安心のできる住まい
という住まいに対する思いが明確になってきました。

まず、地域の材料ということで、羊蹄山麓のカラマツを構造材（柱・梁など）として使うことにしました。
これから暮らす住まいが、同じ土地で、同じ風土で育った木で建てるという昔では一般的な建て方を気に入ってくれました。
今では「地材地消」と言って、地元で採れた材料を地元で使うことで、地域の自然環境の保全（伐採され山林に植樹する）や地域経済の活性化（工務店から製材所、林業者と地元でお金が回る）などが図られ、地域社会を守る手法のひとつとも言われています。

カラマツは、最新の技術で乾燥を行い、ネジやヤニを封じ込め、強度を増した集成材として加工されています。
そのカラマツを耐食性に優れた接合金物と緩みのないドリフトピンで構成されるメタルフィット工法で組み立てています。
また、カラマツは手で触れてもいいようなカンナ加工されているので、壁や天井で隠さないでそのまま表しても使えます。

【軸組みの建て方】

断熱は、外壁や屋根の外側から断熱材で建物をスッポリ包む外断熱工法を採用しています。
断熱材は、熱伝導率0.017kcal/m・h・℃のネオマフォームを使い、次世代省エネ基準を満足する厚さを確保しています。
ちなみに木材の伝導率は0.1kcal/m・h・℃ですから、約６倍ほど熱損失が少ないことがわかります。
このように計画的に断熱や気密を行うことで、暖房や換気などの室内環境を省エネルギーで経済的に保つことができます。

【外壁・基礎の断熱】

外観は、雪が多いところなので基礎高さを高くした高床とし、高床部分に車庫や機械室、倉庫を設けてあります。

【雪のある風景】

玄関へのアプローチ部分は、階段となるので雪や雨を避けるために、上部に屋根を設けています。
出入りは玄関が主ですが、雨風を気にせずに車庫からも室内階段で出入りできます。
また、高齢や万が一の障害に備えてエレベーターが設置できるスペースや電気配線なども準備できています。

南側には、ダイニングから出入りのできるテラスを設けてあり、景色を楽しんだりお茶を楽しんだりできます。
さらに、玄関部分からテラスまで回廊があり、愛犬のウォーキングの場所ともなっています。
屋根は、東西に流れる切り妻屋根で建物をシンプルに覆っています。
除雪は書庫前のアプローチ部分だけで済みます。
外壁に使っている羽目板は道南スギです。
破風やテラス材は地元のカラマツです。
高床部や外壁の一部はモルタル塗りの上、透湿性のある塗装で仕上げ、全体的にアースカラーで落ち着きのある外観にまとめてあります。

室内の壁や天井の仕上げ材にもカラマツの羽目板を使っています。
また、吹抜け部分の柱や梁材もそのまま表している部分もあります。
壁や天井材は、羽目板ばかりではなく、珪藻土塗りやタイルなども使い、落ち着き感やリラックス感を表現しています。
特に珪藻土は、湿度調節機能や消臭性が他の珪藻土の数倍上回る性能を持つ北海道産の稚内珪藻土頁岩を原材料とする「北のやすらぎ」を使用しています。
また、床のフローリングは、ナラの無垢材ですが床暖房用に加工された材料で栗山の工場で作られた道産品です。

【羽目板のあるリビング・ダイニング】

このように内装材は、全て自然素材のものを使いシックハウス症の原因となる化学物質を一切使わない仕上げとしています。
ただ、木材に塗ってある塗料は、自然素材を原材料として物ですが、北海道産ではなくドイツの製品を使っています。
早く日本製の塗料ができることを熱望しています。

リビングには大きな窓があります。ＦＩＸ窓ですが、内窓に障子窓があります。
その障子窓を開けると外の景色が窓一面に広がり、山々が描かれたキャンバスを連想させます。
それも式の変化を楽しめる絵画です。

天気の良い日は、テラスに出て、風を感じながらくつろげますし、テラスから庭に降りて草花を楽しめます。

【大きなテラス】

最新の技術を活用した在来工法の木材住宅で、できるだけ地元や北海道の材料を使っています。

特に、自然素材を多く使っているので、住み心地の良い住まいになっています。