木の階段のある家

木の階段のある家1

M夫妻は、随分前に購入していたニセコの土地に、ご主人の定年を機に住宅を建てようと考えていました。
偶然にも建設中の「大きなテラスのある家」を道路から見る機会があり、一緒に住まいを造る事になりました。

M夫妻は、転勤族で日本中を歩きマンション暮らしが長く続いていたので、住まいを建てるなら、
◎吹抜けがあり、ゆったりしたリビング
◎テラスのある住まい
◎たくさんの荷物を収納できるスペースのある住まい
◎階段は緩やかな段差
という希望がありました。

最初のプランは、基礎高さが低く、片流れの屋根でテラスも包んでしまう平屋風の案で打合せを進めていました。
しかし、2004年の冬の大雪を体験し、雪で苦労しない高床でコンパクトなプランに変えて設計が決まりました。

M夫妻にも道産材の良さを理解していただき、カラマツ住宅を造ることになりました。
まずはじめにカラマツ林を見学し、製材する前のカラマツを見てもらいました。
また、製材工場にもお邪魔して、カラマツが製材される工程も見学してもらいました。
このように、マイホームの木材の性質を知ることで、住まいに対する思いがドンドン強くなっていったと思います。

住まいの造り方としては、「大きなテラスのある家」とほぼ同じで、1階をRC構造の高床とし、車庫・倉庫を設け、2・3階はカラマツ集成材を構造材としたメタルフィット工法で、断熱は外断熱工法。
オール電化で床暖も電気を熱源とした床暖房。
内装材は、科学物質を使わない自然素材で仕上げています。

外部の建具は、木造の断熱サッシュですが、積丹のカラマツ材を使った小樽の新宮商行の製品です。
これも地材地消です。従来から販売していたオリンピアウインドウで、自社の林から採れた60年生以上のカラマツで造っています。
木製ですから、オーダーメイドのドアも造りました。

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【カラマツ製断熱木サッシュ】

外壁の羽目板には、カラマツ板を使用しています。
バルコニーや階段の手すりなどもカラマツ材を使用しており、外観で見える部分は殆どカラマツ材となっています。

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【アプローチから望む外観】

アプローチから玄関に到る階段にも木材を使っています。
当初は磁器質タイルで考えていましたが、雪が吹き込むとなかなか雪を取り除きづらいので、踏み面にとど松の板を貼りました。
多少傷つきやすいのですが、脚に優しいですし、ボルト止めなので取替も楽にできます。

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【木の階段】

テラスには屋根を付け、雪処理しなくてもフルシーズン使えます。
晴れた冬にテラスでお茶をするのも気持ちの良いものです。
テラスから庭に降りられるし、テラス下に散水栓を設置しているので、庭つくりが趣味のM夫人には、とても便利なところです。
また、テラス下には十分なスペースがあるので、庭道具が置けます。

木の階段のある家12

【屋根のあるテラス】

建物の周囲には、屋根からの雨垂れで軒下の土をはねさせないために、木のチップを敷いてあります。
カラマツを製材するときに出るチップで、素材全てを使おうということです。
通常は、小粒の豆石を敷いていますが、木のチップだと畑にまぎれても土に戻るので自然に優しいです。
また、弾力があるので歩いていてもフワフワしています。

室内では、構造材のカラマツ集成材がきれいに仕上がっているので、梁などを表しています。
リビングやダイニングでは、梁を見せているので天井がありません。
2階の床板の裏面が天井代わりです。
床板は、道産材のトドマツを三層に集成した物で35mm厚さを使っています。
通常の天井がないので、室内高さが高く、部屋が広く感じますし、ローコストにもなります。
赤みのある赤松の梁に白みのトドマツのバランスも良いと思います。

木の階段のある家4

【天井のないリビング,ペレットストーブ】

リビングにある表しの階段は、収納庫でもあります。
大中小の収納箱を利用して階段としています。
段差も176mmと低く抑えてあります。

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【収納庫のある階段】

暖房は、電気で不凍液を緩め循環する床暖房を主暖房としています。
40~55℃の低温で暖める低温水式で、エコロージーハウスの推奨建材である銅板パネルを床全面に敷き、融雪用電力を使っているのでランニングコストも低く納まっています。
また、補助暖房として炎が見えるペレットストーブを設置しています。
当初は薪ストーブ(暖炉)を希望されていました。
しかし、屋根から出た煙突ではなくFF式の排気筒ですみ、煙突掃除も不要。
間伐材や木皮等不要材の有効利用や面倒な手間がかからないといったことや実際に使っている方の話を聞いたりして、ペレットストーブを理解してもらいました。
操作は簡単で、石油のFFストーブと殆ど同じでスイッチオンでOKです。

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【環境に優しいペレットストーブ】

暖房設備は2階にしかありませんが、3階も十分に暖かいです。
また、3階は3つの部屋に分かれていますが、引き戸を開けるとワンルーム的な使い方もできます。
その時々の変化に対応できるスペースの使い方ができることが無駄がなくてよいと思います。

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【ワンルームで使える3階】

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【木立から望む外観】

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